恋ふうせん
「ありがとうございます。」
白井さんは、私に顔を向けずに軽く会釈をした。
涙が出そうになって、足早にキッチンへと戻った。
「実は?」
「はい。実は、うちの家内の調子が近頃あまりよくありません。以前から精神的に弱い方で、情緒不安定になることが多々ありました。僕に当たることはもちろんですが、最近は美由紀にまで当たるようになって。」
「美由紀、ちゃん?白井さんのお嬢さんですかね?」
「ええ。隆太くんと同じ幼稚園に通って、仲良くして頂いています。そのこともあって、以前も奥様には美由紀のことで大変お世話になったことがありました。美由紀が、家内に当たられて家を飛び出し、こちらにお邪魔したんです。」
「え?そんなことがあったんですか。」
キッチンからのぞいている私の方を、旦那は「何で俺に言わないんだ」っていう顔をして軽くにらんだ。
白井さんは、私に顔を向けずに軽く会釈をした。
涙が出そうになって、足早にキッチンへと戻った。
「実は?」
「はい。実は、うちの家内の調子が近頃あまりよくありません。以前から精神的に弱い方で、情緒不安定になることが多々ありました。僕に当たることはもちろんですが、最近は美由紀にまで当たるようになって。」
「美由紀、ちゃん?白井さんのお嬢さんですかね?」
「ええ。隆太くんと同じ幼稚園に通って、仲良くして頂いています。そのこともあって、以前も奥様には美由紀のことで大変お世話になったことがありました。美由紀が、家内に当たられて家を飛び出し、こちらにお邪魔したんです。」
「え?そんなことがあったんですか。」
キッチンからのぞいている私の方を、旦那は「何で俺に言わないんだ」っていう顔をして軽くにらんだ。