恋ふうせん
3章 接近
「大杉さん、2番にお電話です。」

私の隣の席に座る、まだ二十歳そこらに見える女子社員の沢田さんが私に電話をつないでくれた。

「はい。ありがとうございます。」

この沢田さん、結構気が強くてちょっと苦手。

だから丁寧に電話を受けるようにしてるんだ。

2番の電話にでると、白井さんだった。

少しずつ胸のドキドキが大きくなってくる。

白井さんは、いつも丁寧だ。

「おつかれさまです。お仕事中に申し訳ありません。」

「いいえ、どうかなさったんですか?」

電話の向こうで軽く咳き込むのが聞える。

「少しお話したいことがあるんですが、今日のお昼一緒にいかがですか?」

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