恋ふうせん
「あ、それはご心配おかけしました。そんな誤解を招くようなことをした僕が悪かったな。」

白井さんは頭をポリポリかきながら明るく笑った。

白井さんは今何を考えてるの?

「大杉さんの奥さんは今キッチンにいらっしゃいますか?」

白井さんがようやく私の方に顔を向けた。

私の大好きな優しい眼差しがそこにあった。

その瞳を見ただけで涙があふれそうになる。

白井さんがこんなに一生懸命私のことを旦那にフォローしてくれてるんだもん。

私もしっかり話をあわせなくちゃ。

「は、はい。ここにいます。」

努めて明るく顔を出した。
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