恋ふうせん
旦那も少し気まずそうに顎髭を掻いている。

「いやー。そういうことでしたか。人の噂って怖いものですねぇ。僕も早とちりして、さっき家内に問いただしていたところなんですよ。白井さんにもご迷惑おかけしました。申し訳ない!」

恥ずかしそうに笑う旦那。

少し後ろめたい気持ちでそんな旦那の姿を見つめていた。

胸が痛い。ごめんね。

「いいえ。こちらこそ、誤解を与えるようなことをしてしまって申し訳ありませんでした。なるべく早くご説明とお詫びをしておいた方がいいと思って、こんな夜分にお伺いさせて頂きましたが、思い切ってお伺いしてよかった。」

「いや、本当に。あまりにタイミングよく白井さんが来られた時は、正直僕も驚きましたが。」

旦那は、苦笑しながら、私の方をちらっと見た。
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