恋ふうせん
「家内の病状は、僕がそばにいることで悪化すると医者に言われました。どうも僕の言動が家内の精神を不安定にさせる要素があるらしくて…。今のままでは治るものも治らないので、きちんと入院して、最善の治療をほどこしたいと、家内の両親の強い要望もあったものですから。入院は長期にわたる可能性があり、例え退院しても、僕とは会わない方が未知のためになると皆で判断した結果、離婚という形をとることになりました。」

「そうなんですか。またそれは急なことですね。なんと申し上げてよいやら。」

旦那もあまりに突然のことで動揺をかくせない様子だ。

白井さんは、一息つくと話を続けた。
< 165 / 221 >

この作品をシェア

pagetop