恋ふうせん
「やっぱり、な、咲!絶対そうだって。」

白井さんと私の気持ちを差し置いて、一人無邪気な表情を浮かべる旦那。

まったく・・・。

「こないだも家内とその話してたんですが、随分前に小樽のホテルで白井さんによく似た人が働いていたのを思い出したんですよ。白井さんは、僕らが泊まりにきたのを覚えておられませんか?でも、そんな昔のこと覚えてらっしゃらないかなぁ。」

白井さんは一度うつむいて、そしていつもの柔らかな笑みを浮かべて旦那に言った。

「はい、もちろん覚えていましたよ。」

白井さん?
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