恋ふうせん
「何のおかまいもなく。」

旦那は頭をかきながら申し訳なさそうに白井さんの後ろを歩いてる。

2人の並んだ姿は若さの違いが歴然だった。

白井さんがまぶしくて見れない。

私も白井さんの横に並んだら・・・。

白井さんは、玄関で旦那と私に軽く会釈をすると、

「おやすみなさい。」

と言って、静かに扉を閉めた。

白井さんは、結局、私を守ってくれた。

誰も傷つけずに、ただ自分だけが傷ついて。

でも、白井さんも小樽に行くなんて。

そんなに近くにいたら、またきっと会いたくなる。

そんなことくらい、白井さんもわかってるはずなのに。
< 170 / 221 >

この作品をシェア

pagetop