恋ふうせん
喉もかわいていたから、一気にグラスの半分をあけた。

「あー、おいしい!」

「いい飲みっぷりだよな。お前はいつも。」

旦那は笑いながら、自分のグラスにもビールをついだ。

「白井さんの奥さんって、そんなに悪かったのか?」

あ、始まった。

この話がしたかったんだね。

ここまで来たら、話した方が後ろめたくないかも。

「ああ、その話ね。うん。私も実際見たことはないけどかなり情緒不安定になるらしくって、美由紀ちゃんはたまに暴力ふるわれることもあったみたい。」

「え?!そうなのか。あんなにかわいい華奢な奥さんなのにな。美由紀ちゃんも実の母親じゃないから、余計辛かったろう。」

「そうね。一番辛かったのは美由紀ちゃんだと私も思うわ。」

子どもの話になると、大抵私と旦那は意見が同じだった。
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