恋ふうせん
後任の中井さんに引き継ぎ書の説明を終えて、お茶を一口飲んだ。

中井さんは、若いけど働いた経験もあってなかなかのしっかりもの。

こういう子が後任だと引き継ぎもスムーズでやりやすい。

横で中井さんがキーボードをリズミカルに叩いてる音をききながら、ぼんやりとしていると、ふいに目の前の電話が鳴った。

中井さんが電話をとろうとしてくれたのを遮って、「大丈夫、私がとるから。」と笑顔で電話に出た。

ひょっとしたら・・・なんて思いながら。

電話は受付からだった。
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