恋ふうせん
蚊の鳴くようなか細い声で未知さんが話し出す。

「はい。なんとか。」

「今日は?」

「どうしても、大杉さんに一目会っておきたくて。」

未知さんは、大きなため息を一つついた。

「私と太一は、今日離婚しました。私も太一も今週末には、今のマンションを出て別々に暮らします。」

「そうだったんですか。」

こういう時、もっと驚いた方がよかったんだろうか。

「この話は既に太一から聞いてご存知でした?」

未知さんの声に急に力がはいる。
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