恋ふうせん
「太一のメールを盗み見たことあったけど、ただそれだけじゃなくて、女の直感っていうか。でも、太一はあなたとのことは頑なに否定したわ。」

「あのね、未知さん、私は、」

「あんなに真剣に誰かをかばってる彼の姿、私は見たことない。」

「・・・。」

「あなたも太一のことが好きなの?」

痩せて落ちくぼんだ未知さんの目がギロッと私をにらんだ。

喉の奥がからからに乾いて、息苦しい。

未知さんは、私から目をそらすと、また大きなため息を一つついた。

「でもね、もうどうでもいいこと。私たちは離婚したんだし、太一が誰を愛そうともう自由だもの。私もこの通り、精神的にかなりダメージ受けちゃったし。最初から、私と太一は結ばれる運命ではなかったのよね。」

未知さんはそう言うと、力無く自嘲的な笑みを浮かべた。
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