恋ふうせん
目の前に置かれたお茶をぼんやりと眺めながら、また私の気持ちがざわつき始めていた。

いけないと思えば思うほど、人間はそれに逆らいたくなる生き物なんだってこと。

もう随分前から知っていたことだけど、実感するのは初めてじゃないだろうか。

私はいったいこれからどうなってしまうんだろう。

逆らえない渦の中に、足を一歩入れている自分。

その足を引き抜くことは容易なはずなのに、自分の意思がそうさせない。

その足先を見つめながら何度ため息をついたことだろう。

自分が怖い。
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