恋ふうせん
白井さんのおすすめのカフェまでの道のりを二人で肩を並べて歩く。

銀杏並木の黄緑色の葉が太陽光に反射しながらやさしく揺れてる。

いつも見慣れた風景がとても新鮮で、日常を忘れてしまう。

そして、今私の隣にいる人は、私の旦那じゃない人。

結婚してから、旦那以外の男性と肩を並べて歩くなんて想像もしてなかった。

しかも、若くてとても素敵な男性。

ふふふ。

少しくすぐったくて白井さんにわからないようにうつむいて笑った。

「このカフェです。最近できたばかりなんですけど、ハンバーグランチがすごくおいしいんですよ。」

白井さんは少年のように明るく笑った。

白井さんは、私みたいなおばさんと一緒に歩くの嫌じゃなかったかな?

カフェのガラス扉にうつった自分を見て、横髪を耳にかけ直した。

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