恋ふうせん
「待ってて。」

私の中の何かが外れた。

私は着の身着のままで、家を飛び出した。

そして、エレベーターに乗り込んで7階を押す。

気持ちが高ぶって、呼吸が荒くなっている。

私じゃない何かが、私を突き動かしているようだった。

会いたい。会いたい・・・どうしようもないの。

エレベーターの中で、子ども達、旦那、智子の心配そうな顔が順繰りに頭の中に浮かんでくる。

「ごめん。」

エレベーターの扉が開いた時、目をつむってつぶやいた。

そして、そのまま白井さんの玄関までかけ出していた。
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