恋ふうせん
「何かおかしい?」

白井さんは、私の方を見て、少し笑いながら聞いた。

「うん、十分おかしい。」

私も白井さんの方を向いて、笑いながら答えた。

「なんだか馬鹿にされてるみたいだなぁ。」

白井さんは、くすっと笑うとまた天井を見上げた。

「色んな呪縛から解き放たれた気分だ。」

「呪縛?」

「最近味わったことのない幸せな気分。」

そう言うと、白井さんは顔だけこちらに向けた。

「咲さんは?」

私は白井さんから天井に視線をうつした。
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