恋ふうせん
店内は少し薄暗くて、観葉植物や小洒落た雑貨が所狭しと飾り棚に並べてあった。

ジャズベースの重低音がゆるやかに響いている。

店員さんに案内されて、一番奥の二人がけのテーブルに腰を下ろした。

二人がけのテーブルは、少し狭くて座ると白井さんの顔がすぐ目の前にあった。

あ、やだ。

恥ずかしい。

こんな状態で食べられるかしら?

高校生の時、初めておつきあいした彼と入った喫茶店。

あまりに緊張して、頼んだスパゲティがほとんど喉を通らなかったっけ。

正面に座っている白井さんの顔をなるべく見ないですむように、テーブルにたてかけて
あるメニューを手に取った。

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