恋ふうせん
「幼稚園から、咲に何度も電話したけど、つながらないからって私のところへ電話がかかってきたのよ。もし私が不在だったらどうなってたか。」

実母は、ふーっとため息をついた。

「航太が突然呼吸困難になったのよ。咲がなかなか迎えにこない間に。」

私は血の気がさーっとひいていくのがわかった。

足元がふらつきそうになるのをやっとの思いでふんばる。

「今、航太は?」

「集中治療室で検査と点滴を受けてるわ。もうすぐ先生から説明があるはずだから。」
 
航太。

どうして?
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