恋ふうせん
「お母様ですね?」

「は、はい。」

「航太くんは、結論から申し上げると命に別状はありません。ただ、急性のぜんそくが発症し、呼吸困難に陥っていました。今は薬が効いて落ち着いて寝ています。今までぜんそくになったことは?」

「いえ。ありません。」

「こういった急な幼児のぜんそくは、ストレス性のものが大半なんです。航太くんにストレスがかかるようなことは最近ありましたか?」

にぎっていた手のひらに汗が噴き出している。

「特に、思い当たりませんが。」

やっとの思いで言う。
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