恋ふうせん
航太の手をにぎりしめながら、気がついたら私は子どもみたいに泣きじゃくっていた。

実母は、私のそばにゆっくりと近づいてきた。

「あなたもこれでいい勉強になったでしょう。何があったのかわからないけど、子どもがこんなになるまで気づかなかったのは親の責任。しばらくは、何よりもまず子ども達をしっかり抱きしめてあげなさい。」

静かな優しい声だった。

それは紛れもなく実母の声だったけど、遠い空の向こうから聞こえてきたような気がした。

隆太は、実母に預かってもらい、私はそのまま病院に泊まることにした。

とりあえず、必要なものをとりに、家に戻る。
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