恋ふうせん
でも、白井さん、今言い直したよね?

ひょっとして、

『今度は是非夜一緒に行きましょう』

って言おうとしてくれたのかしら?

まさかね。

焼きたてのハンバーグがのったお皿が運ばれてきた。

ドミグラスソースがたっぷりかかってるその上には目玉焼き。

「ハンバーグにはやっぱり目玉焼きですよね!」

その目玉焼きがうれしくて思わず身を乗り出してしまった。

あ、しまった。

目玉焼きごときで年甲斐もなくはしゃいでしまった自分が少し恥ずかしい。

照れ笑いすると、白井さんは、そんな私を目を細めて見つめていた。

「うん、僕もそう思います。」

この「うん」っていう響き…

少し対等な感じで胸がキュンと鳴いた。

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