恋ふうせん
「いや、でも。」

「都合が悪いなら、無理にとはいわへんよー。まだしばらくこっちにいるし、日を改めて会ってもいいしね。」

私は小さく深呼吸をした。

「じゃ、少しだけ、お茶しようかな?」

「わー、本当?このホテルのカフェがなかなか素敵なのよー。いこいこ!」

胸の鼓動が激しくなっていく。

私は、今「偶然」の状況でホテルに入ろうとしている。

ホテルに入ったら、白井さんがいるかもしれない。

でもいないかもしれない。

もしいたら声かけられるかもしれない。

でも、かけられないかもしれない。

それは、「偶然」の縁が決めること。

その時、どう感じるかは、その時の私にしかわからない。

確かなことは、偶然の縁にも終わりがあるってこと。

それが必然でない限り。
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