恋ふうせん
ハンバーグにナイフを入れながら、

「ところで、お話って?」

と私から切り出してみた。

白井さんは、ハンバーグに手をつけないまま話し出した。

「今日、僕の家内にお会いされたそうですね。」

「え。もうご存知なんですか?そうなんです、偶然マンションの玄関でお会いして。」

「その時、大杉さんに家内が失礼な態度をとってはいませんでしたか?」

「あ…。」

どうしよう?正直に話すべきだろうか?

でも、白井さんの私を見る眼差しは真剣だった。

だから、今朝未知さんと会って、その時の会話や未知さんの様子をそのまま話した。

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