恋ふうせん
私達って、他のお客さんや店員さんからどんな風にうつるのかな?

姉弟?仕事仲間?

それとも…。

白井さんは少し真面目な顔になった。

「実は、今朝その件で家内から電話が入ったんですよ。
『どうして話してくれなかったのよ!』
ってすごい剣幕でね。」

白井さんは初めてハンバーグを一口ほおばった。

見かけの雰囲気からは想像もつかないほどの豪快な青年のような一口に一瞬釘付けになった。

なんだかかわいい。

「家内は、時々急にエキセントリックになるときがあって。
僕の前だけだったらいいんですが、そうじゃない場合もあって。
ひょっとして、大杉さんにも失礼な態度をとったんじゃないかって心配になったんです。」

「いや、そんなことは全然なかったですよ。やや心配そうなお顔になられただけで。」

「僕からも帰ったらきちんと話しておきますので、どうか、これからもよろしくお願いします。」

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