恋ふうせん
白井さんと私は水を飲んだ。

その後は、たわいもない話をしながら、ハンバーグを少しずつ食べた。

本当はおいしいハンバーグなんだろうけど、その時の私の味覚神経は、どこか遠いとこ
ろに行ってしまってる感じだった。

ふと時計に目をやると、もうすぐお昼休みが終わる時間。

「そろそろ戻らないと。」

私はナイフとフォークをお皿に置いて、ナフキンで口元をぬぐった。

白井さんも自分の腕時計を見て、

「ほんとだ。もうこんな時間だ。」

とつぶやく。

「ここの勘定は僕に払わせて下さい。

今日は急におよび立てしてしまって申し訳ありませんでした。」

にこっと笑うと、白井さんは席を立って、足早にレジカウンターの方に進んでいった。

ハンバーグ半分と目玉焼きをお皿に残したまま。

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