恋ふうせん
翌朝、またマンションの玄関で未知さんが立っていた。

今日はゴミの日じゃないんだけどなぁ…。

心の中で首をかしげながら、とりあえず笑って会釈をしてみる。

未知さんは、私の顔を見てうれしそうに近寄ってきた。

「昨日はごめんなさいね。失礼な態度をとってしまって。
昨晩、主人からきちんとお話聞きました。」

「いえ、そんな。」

昨日との豹変ぶりに戸惑う私。

そんな私をよそに、笑顔で私の腕をひっつかんできた。

「よかったら、今週末うちに遊びにいらして!
美由紀も旦那も喜ぶと思うの。
久しぶりに腕をふるうので、一緒にお昼もいかがですか?
おいしいクッキーも焼いておきます!」

更にすごい展開…。

しかもクッキー焼いてるって、絵に描いたようなかわいらしい主婦じゃない。

私なんて、クッキーは学生以来焼いたこともないってのに。

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