恋ふうせん
そして迎えた週末の朝。

「お母さぁん、朝ご飯まぁだぁ?」

ぼさぼさの髪の毛をかきながら、パジャマ姿の隆太と航太が、朝食の催促を始める。

私は朝早くから起きて、白井さんのおうちに手みやげにするチーズケーキを焼いていた。

チーズケーキなんて焼くの、今までに2回目。

これが一番確実でてっとりばやいと思って、昔のレシピを引っ張り出してきた。

「はいはい、隆太、航太。ここにあるロールパン適当にとって食べといてよ。」

そう言いながら、焼けたチーズケーキをそろりとテーブルの上に置いた。

「これ食べちゃだめなのぉ?」

航太が焼きたてのチーズケーキを指さした。

「だめだめ!これは今日美由紀ちゃんちに持っていくんだから。
その時皆で一緒に食べましょう。」

そう言いながら、航太の前にロールパンを差し出した。

航太はしぶしぶそれを受け取ると、そのままかぶりついて、テレビの前のソファーにちょこんと座った。

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