恋ふうせん
未知さんが作ったおいしそうな手料理がテーブルの上をうめつくした。

どれも本格的な洋食だった。こんな手の混んだお料理、私は作ったことないよな。

一種の感動を覚えながら、じっくり煮込まれたビーフシチューを一口頂く。

「うわぁ。すっごい濃厚なドミグラス。未知さん、どこでこんなおいしいお料理覚えられたんですか?」

一口食べただけなのに、口の中に何とも言えない深みのあるドミグラスの味が染み渡った。

高級なビストロレストランで食べる味みたい!

未知さんは、

「お気に召して頂いて光栄だわ。ふふ、太一さんと結婚する前に母に教わっただけよ。」

と少し恥ずかしそうに肩をすくめた。

太一…?白井さんのこと?

そうか、私は下の名前すらまだ知らなかったんだ。

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