恋ふうせん
一呼吸おいて、私は隣の控え室と書かれた扉を開けた。

既に、3名の女性が座席で待機している。

あんな大ボケかましちゃったら、やっぱり減点なのかなぁ…ため息をつきながら、座席
に用意された旅費精算用紙を作成し、印鑑をついた。

「では、大杉咲さん。面接会場にお入りください。」

女性事務員が私の名前を呼んだ。

「はい!」

とりあえず元気よく返事をして立ち上がる。

面接会場と書かれた扉の前で深呼吸。

昨日ざっと目を通した面接の極意本に書いてあったとおり3回ノックした。

「どうぞ。」

少し高音の男性の声。そっと扉を開いた。

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