恋ふうせん
月曜日、いつものように仕事に向かう。

なんだか喉が痛い。

頭も痛いかも?

嫌だなぁ、風邪かしら?

駅の売店でのど飴を買った。

ぼ~っとする頭をなんとか奮い立たせてパソコンをにらむ。

あ、やば。

どんどん喉が痛くなってきたよ。

買ってきたのど飴を一つ口にいれた。

「大杉さん。」

飴を口にいれたすぐ後に、私の後ろで白井さんの声がした。

急なことに慌てて、椅子からずり落ちそうになる。

飴がこぼれないよう口を押さえて振り返ると、いつもの優しい穏やかな笑顔をたたえた
白井さんが立っていた。

「あ、お仕事中突然すみません。」

白井さんは丁寧に頭を下げた。

「いいえ、大丈夫です。どうかなさいました?」

隣に座る例のおっかない沢田さんが、眼鏡を上げながらさりげなくこちらを伺っている。

あんまりこの場所で長話はできないな…。

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