恋ふうせん
「大杉さん、お顔が赤いですよ。熱でもあるんじゃないですか?」

白井さんはそう言った瞬間、私のおでこに右手の平を当ててきた。

突然のことに思わず息が止る。

自分のおでこにもその手のひらをあてがいながら、

「やっぱり。かなり熱がありますよ。医務室に行きましょう。お話はそこで。」

と、白井さんに促されるまま私は席を立った。

その時、沢田さんと目がばっちり合ってしまったので、

「すみません。医務室に少し行ってきます。」

と申し訳なさそうに頭を下げてみた。

沢田さんは、ふんと、鼻をならして私から視線をそらすと、正面のパソコンに目を向けたまま、

「お大事に。」

と、冷たく言った。

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