恋ふうせん
結局白井さんに甘えて、そのまま着替えて帰ってきてしまった私。

とりあえず、リビングのソファーにどかっと座り込み、

あったかい「ゆず茶」を飲む。

ふうっと、今日の白井さんのことを思い出す。

いつも柔らかくて優しくて、でもしっかりしていて。

未知さんが、高熱の時、白井さんに惚れちゃうのも無理ないよね。

私も独身だったら、きっと白井さんのこと好きになっちゃうんだろうな。

って、もう十分好きになってるかもしれないけど?

ゆず茶の湯気の向こうに白井さんの笑顔を探しながら、いつの間にか眠ってしまった。

ふと気づくと、時計は16時を回っている。

しまった。

病院へ行こうと思ってたのに。

寝過ぎちゃったなぁ。

しょうがないので、家に常備してある市販の風邪薬を飲んだ。

その時、

「ピンポーン」

と玄関のチャイムが鳴った。

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