恋ふうせん
あれ?誰だろう?

隆太と航太は、うちの母の家にまだ預かってもらってるはずだし。

とりあえず急いで玄関の扉を開けた。

そこには、白井美由紀ちゃんがうつむいて立っていた。

「あら、美由紀ちゃん?どうしたの?」

「隆太くんのおばちゃん?」

私を見上げたその目には大粒の涙があふれていた。

「どうしたの?とりあえず入って!」

なんだかただごとではないような気がして、美由紀ちゃんを家の中に招き入れた。

とりあえず、リビングのソファーに座らせて、ホットミルクをいれたマグカップを両手に握らせる。

一口ミルクを飲んだ美由紀ちゃんは、ゆっくりと言葉を選びながら話しだした。

「今日は突然ごめんなさい。美由紀、とても怖かったの。」

ミルクを持つ両手が少し震えている。

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