恋ふうせん
白井さんの存在がどんどん身近な存在になっていく。

まるで仕組まれたかのように。

それが恐ろしくもあり、心のどこかで喜んでいる自分もいた。

「あの、もしよろしければ、僕にも大杉さんの連絡先教えて頂けませんか?」

「じゃ、今晩にでもこちらのアドレスにメールいれておきます。」

白井さんはふっと笑ってうなずいた。

そんな、さりげない仕草にさえ、胸がきゅんとなる。

熱のせいなのかしら?


白井さんと美由紀ちゃんは家に帰っていった。

未知さん、どうしてるんだろう?

美由紀ちゃんは大丈夫だったのかな?

熱に浮かされながら夕食を作っている間、ずっとそんなことばかり考えていた。

食事も済み、後かたづけも終えて、一段落。

ソファーにぐったり横倒しになった。

今日はなんだか長い一日だった。

結局、早退したのは何のためだったのか。

時計を見ると、21時を回ったところ。

そろそろ旦那が帰ってくるな。

それまでに、白井さんにメールいれておこう。

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