恋ふうせん
白井さんに手渡されたメモ用紙のアドレスを携帯の宛先に打ち込んでいく。

「miyuki_s@」まで打ち込んで、この「s」が気になってくる。

「miyuki」は美由紀ちゃんのことだと思うんだけど、この「s」って?

「咲」の「s」?

まっさかね~。

そこまでうぬぼれちゃバチが当たるわ。

ソファーの上に三角座りをして、まるで女子高生のようにドキドキしながら、言葉を選
んで打ち込んでいった。

『白井さん、その後美由紀ちゃんは大丈夫でしたか?
私でよければいつでも美由紀ちゃんのお世話させて頂きますので遠慮しないで下さいね!白井さんもお仕事忙しいと思いますので、くれぐれもお体ご自愛下さい。』

ふふ。なんて無難な内容。

でも、家庭を持つ身としては、この程度でも十分よね。

私って本当に真面目な体質だわ。

これは昔からだけどね。

ハメはずせないというか、曲がったことができないというか。

それはそれで、自分の好きなこところではあるんだけど。

今は、必死にそのハメが外れそうなのを止めてるって感じかもしれない。

< 70 / 221 >

この作品をシェア

pagetop