恋ふうせん
もう一度文章を読み直して、「送信」ボタンを押した。

その直後、玄関が開いて旦那が帰ってきた。

も~、絶妙のタイミングなんだから!

「ただいまぁ。」

ちょっと間の抜けた声で旦那がリビングに入ってきた。

私の座っているソファーの横にカバンを無造作に置いて上着を脱ぐ。

自分のおでこに手のひらを当てて大きなため息をついた。

「なんだか頭痛いんだよ。風邪かな?」

「え?あなたも?」

「って、お前も?二人してやられたかな。」

旦那は少年のような顔をして嬉しそうににやついている。

変なの。

でも、そういう無邪気なところに惹かれたってのもあるけどね。

私も少し笑って、携帯を自分のズボンのポケットにしっかり詰め込んだ。

そのままキッチンに向かって旦那の夜ご飯の準備をする。

「なぁ、今度の夏休み、久しぶりに旅行にでも行かないか?」

旦那はソファーにどかっと座って、顔だけこちらに向けて言った。

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