恋ふうせん
6章 恋しくて
金曜日の夜。

私はタワーホテルのロビーで、白井さんを待っていた。

少し早く着きすぎたので、ロビーのソファーに腰を下ろす。

旦那には、職場の方の送別会で遅くなるって言ってきた。

嘘をつくことはほとんどなかったから、やっぱり少し後ろめたい。

でも、今は白井さんと一緒にいたいっていう気持ちと、美由紀ちゃんのことが気になって、嘘をついてでもここに来たかったんだ。

一緒に食事するくらい罪なことではないよね?

それにしてもタワーホテルなんて。

1年前に、近所のママ友達たちとランチバイキングに来たっきりだったな。

そこそこ高級感のあるホテルで、巷のマダムの間ではちょっとした憧れのホテル。

自然と笑みがこぼれて、素敵なソファーの生地を手でさすってみた。

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