恋ふうせん
「由梨さんと私って同じ年なんだ。」

私はぽそりとつぶやいた。

由梨さんに対する親近感がわくと同時に、幼い子を残して逝かなければならなかった無
念さを思うと胸がつぶれそうだった。

それなのに、同じ年の女性を好きになった白井さんを思うと、不謹慎とわかっていながら胸が熱くほてっていた。

「咲さんは由梨と同じ年ですか?」

少し驚いたように白井さんは落としていた視線を私に向けた。

「ええ、確か、以前未知さんに白井さんの年齢を教えて頂いたことがあって。」

白井さんは自嘲的な笑いをうかべて、前髪をかき上げた。

「僕が惹かれるのはいつもそういう人だな。」

…。え?

言葉が出てこないまま、だたただ、白井さんを大きく見開いた目でみつめた。

「あ、すみません。」

白井さんはまた視線を落とした。

しばしの沈黙が2人の間の流れる。

その先の白井さんの言葉を期待している自分と、聞きたくないという自分が頭の中を右往左往していた。

「話題換えましょう。」

白井さんはうつむいたまま静かに言った。

半分の私はホッとしていた。

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