恋ふうせん
「これ以上の関係を望みません。これからもたまにこうやって一緒に食事にお誘いしてもいいでしょうか?」

いつもの白井さんの優しい眼差しで、静かに言った。

「はい。」

後ろめたくないと言えば嘘になるけど、お食事だけくらいなら?

いいお友達ということで?

と自問自答を繰り返しつつ、意外にはっきりと返事をしている自分に驚いた。

その返事に安堵したのか、白井さんは急に飲むペースも速くなり、饒舌になった。

私もつきあい始めてまもない恋人が目の前にいるかのように、白井さんの一挙一動を愛おしく見つめていた。

たわいもない会話が続いた後、急に白井さんの笑顔が消えた。
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