恋ふうせん
「その原因って?」

「僕が未知を愛せなくなってしまったから、かな。」

そう言うと、せつない目で私を見つめた。

私は喉がからからに乾いていくのを感じた。言葉が出ない。

「美由紀のことを考えると、このままではいけないと思うんですが。僕はひどい男ですね。」

さっきかいま見せた闇の部分が再び白井さんに影をおとしはじめた。

私達の間に滑り込んできたその闇を吹き払いたい一心で、私は少し声高に言った。

「白井さんにとって一番大切なのは美由紀ちゃんでしょ?だったら何とかしなくちゃ。」

白井さんは、ふぅっとため息を一つついた。
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