恋ふうせん
「男の性でしょうか・・・。僕も自分自身が情けなくなる時があるんですが、未知のことは、もう愛することができません。例え、それが美由紀のためであっても、未知に対して裏切り続けてきた自分の後ろめたさは、簡単にはぬぐえません。そして、今、咲さんと再会し、どうしようもない自分の思いを抑えるのに必死なんです。」

白井さんのまっすぐな瞳が私をとらえた。

キツネににらまれたウサギのように身動き一つとれなくなってしまう。

白井さんは、まだ若い。

まっすぐな瞳を投げかけられる、そんな白井さんの若さが私にもあったら、きっとその胸にためらいなく飛び込んでいけるだろう。

でも、今は無理。

「ごめんね。」

私は静かに白井さんの方を見て言った。
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