白狐様の秘密
家につくと、父上様と兄上様が待っていた。
「ただいま帰りました。」
「蝶蘭、森をだめにしたそうだな。」
怒っている。
それはそうだ。妾は父上様の大事なものを壊してしまったのだから。
「父上、そう怒らないでください。蝶蘭、そちらの方は?」
セイラン
兄上様・誠蘭はいつも妾が叱られていると庇ってくれるいい人だった。
「はい。こちらは黒覇でございます。わたくしが倒れている所、助けて頂きました。」
「黒狐の黒覇と申します。狐神様のことは存じております。どうか、蝶蘭様をお許しになっては貰えないでしょうか?」
黒狐と聞いて兄上様の表情が曇った。
だが、すぐ元の兄上様に戻った。
気のせいか。
ほっとしたのはつかの間。
ある日妾は兄上様のある計画を聞いてしまったのだ。
本来なら狐神を継ぐのは兄上様だったが、それが妾に決まってしまったのだ。
兄上様に比べ、力が強かった妾は幹部たちの推薦もあって大狐神になることになったなのだ。
それに怒りを覚えない奴はいない。
大狐神への執着、妾への嫉妬。
兄上様はいつか妾を殺し、自分が大狐神になると、計画を立てていたのだ。
聞いた時はショックだった。
1番身近にいて、妾の味方だと思っていたのに。
それからと言うものの、妾は少しずつ兄上様から距離を取るようになっていった。