白狐様の秘密
誠蘭さんの部屋に向かう間凪に話しかけてたんだけど、相変わらずの無反応。
さっきまでの優しさはどこへやら。
肩を落としていると、凪がある部屋の前で止まった。
「こちらが誠蘭様の部屋にございます。」
いよいよか。緊張してきた。
凪は私に部屋の外で待っているよう言い、誠蘭さんの部屋に入っていった。
しばらくすると、凪が呼びに来た。
「誠蘭様がお待ちです。どうぞおはいりください。」
重たい扉がゆっくり開いた。
私は息を飲んだ。
目の前に広がっていたのは和風の部屋。
建物自体は洋風造りで、私の来ているのもドレス。
どう見ても不釣り合いだ。
すると、奥から上品な面持ちの男の人が近づいてくる。
「さあ、こちらへどうぞ。」
黙って彼について行く。
彼が襖を開けると、洋間が広がっていた。
洋間の真ん中には机と椅子というシンプルな部屋だ。
「こちらにお掛けになって。」
「し、失礼します。」
彼の顔をじっと見た。
すると彼は笑顔で挨拶を始めた。
「初めまして姫。僕は誠蘭と申します。僕のことは琥珀の方から聞いたかな?」
「はい…。聞きました。それとっ、あの…、なぜここにいる皆さんは私のこと姫と呼ぶのですか?」
「姫については何も聞いてないと?」
「はい。」
「それなら僕が教えろう。」
警戒しながらも話に耳を傾けることにした。