白狐様の秘密
「千年に1度生まれると言われている姫。その力は計り知れないと言われている。僕も実際に目にしたのは始めてだから、その伝説が明確かどうかは分からない。」
「どうして私が姫だと思ったんですか。」
「僕たち狐神には分かるんだ。それでだ姫。君はこれからここに住み、僕の妃になって欲しい。」
「えっ…、それは、」
「君に決定権はないよ。ここは僕の家だからね。それに君を帰すつもりは微塵もない。姫の力は肌を重ねないと発揮しないと聞くからな。」
そう言うと怪しげに笑った。
背筋が凍った。
「大丈夫だ、悪いようにはしないよ。ただ、僕に逆らわなければの話だがな。」
嫌だ、こんな人と結婚したくない。
話が終わり部屋に帰ると涙が溢れてきた。
泣いちゃいけない。
そう思えば思うほど溢れてくる。
カリカリ
窓の方から音がする。
カーテンの隙間からゆっくり覗いてみると、そこにいたのは白く綺麗な狐だ。
窓をゆっくり開けると、その狐は部屋の中にふわりと入ってきた。
狐は周りを見渡すとその場に座って私をじっと見ている。
私も気になり白い狐を見つめていると、
「咲羅」
今の声って、琥珀くん!
でもここにいるのは狐と私、どこにも彼の姿は見えない。
気のせいかと肩を落とした。
「咲羅、気のせいじゃないよ。俺はここにいる。」
「う、そっ…」
「嘘なんかつかないよ。ごめんね遅くなった。」
「白い狐さんは琥珀くんなの?」
「そうだよ。今は妖気を隠すために小さい姿なんだけどね。それより、咲羅大丈夫?」
「わたしっ、こ、わかっ、た…」
いけない。泣いちゃ琥珀くん困っちゃうのに。
「ごめっ…」
体が温かいものに包まれた。
顔を上げるとすぐ近くに琥珀くんの顔がある。
恥ずかしくなって俯いてしまったけど、琥珀くんの腕の中は暖かく心地いい。
私の気持ちが落ち着くまでずっと抱きしめてくれた。
気持ちが落ち着くのを確認するとゆっくり離した。
「いきなりごめんね。でも我慢出来なくなったから。怖い思いさせてほんとごめん。」
「ううん。琥珀くんは悪くないよ。私、もう大丈夫だよ。」
帰ろうと琥珀くんが手を差し伸ばしてくれたその時!扉が勢いよく開いた。