白狐様の秘密
「やはり来ると思っていたよ琥珀。妖気を隠したぐらいで僕が気づかないとも?」
張り詰めた空気。
痛いくらいに誠蘭さんは私を見てくる。
「彼女は僕のものだ。君の元へは帰らない、お前はここで終わるんだ。」
私たちの周りに沢山の白と紫の狐や人が取り囲んでいる。
誠蘭さんが合図を出すと一斉に襲いかかってきた。
「咲羅、俺のそばから離れちゃダメだよ?咲羅は俺が守るから。」ニコッ
私の肩を抱きながら華麗に攻撃をかわす。
まるで舞でも見ているかのようにきれい。
そう思っていたのもつかの間。隙を見た相手が懐へ潜り込んできた。
危ないっ!
目をつぶったが何もおこらない。
ゆっくり目を開けるとそこにはいろんな色の狐がいた。
「お前たち来なくてよかったのに。黒、いらんことは言うなと言ったはずだぞ。」
「いらん事じゃねーだろ。大将が勝手に行動するから危なっかしくてたまんねえよ。」
「黒川くん!来てくれたんだ!」
「おう。月下、無事で何より。」ニコッ
眩しいくらい爽やかな笑顔に思わず恥ずかしくなって俯いてしまう。
「えっと、…琥珀くん!この狐さんたちは?」
「ん〜、話すと長くなるからひとまず、家に帰ってから話すね。それより今は、ここを出るのが先だ。」
そう言うと琥珀くんは私を抱き上げると、皆に合図をした。
皆は頷くと琥珀くんの足元に陣を浮かび上がらせた。私たちは眩しいくらいの光に包まれた。
誠蘭さんたちの悔しそうな声が遠のいて行くのがわかる。
次の瞬間、私たちは見覚えのある家の前に立っていた。