白狐様の秘密
「ここって…。」
「ここは俺が仕切っている神社。普段はここにいて仕事をしてるんだ。あ、でも人間にはもちろん見えないようにしてるけどね。」
「ここ、私の家…。琥珀くんがいつも守ってくれてたの?」
「咲羅が小さい時から知っているよ。」
琥珀くんは社殿の中へ入ると、私も中へ入るよう言ってきた。
「中に入るのは始めて!おじいちゃんから絶対に入ってはいけないって言われてたから。」
「確かに、無断で入るのはよくないね。でも、主がいる場合を除けば話は変わってくるよ。咲羅はここを自由に使っていいからね。」
すると、奥の方から小さい子狐が2匹やってきた。
子狐たちは走って琥珀くんに寄ってくると、おかえりと言っているかのように擦り寄っている。
「ただいま。いい子にしてたか?ゆき、ぼたん」
2匹は頭を撫でられて嬉しそうだ。
私がいることに気づきじーっと見ている。
「琥珀くんこの子たちは?」
「尻尾が6本ある方がゆき、4本がぼたん。ゆきが男の子でぼたんが女の子だよ。
2人は元々誠蘭のとこの狐の子だったんだけど尾の数が少ないからと捨てられたんだ。」
「そんな理由で…ひどすぎる。」
「奴らはそう言う輩さ。」
「でも、琥珀くんのところに来て2人とも良かったと思うよ。」
「どうして?」
彼のキョトンとした顔が可愛い。
そんな事は言えないけど(笑)
「だって、2人ともとっても幸せそうな顔してるよ。」
琥珀くんは微笑むと私の頭をそっと撫でた。
大きくて優しい手。
ずっとこのままがいいなあ…って何考えてるの、私!
クスクス
「咲羅は見てて飽きないな。ほんと可愛い。」
か、可愛いだなんて…。
頭の中沸騰してるみたいにあつい。
「おい、白。そろそろいいか?俺たち待ちくたびれた。」
黒川くん、ずっと外で待ってたんだ。
黒川くんの後ろに続いて次々と人がはいってきた。
琥珀くんを中心にみんなが座っている。琥珀くんから出ていた柔らかい空気から張り詰めた空気へと変わっていく。
周りの空気が変わったから私も姿勢を正して様子を伺う。
「さて、みんな待たせたね。本題に入ろうか。」