白狐様の秘密
菊の花
あっという間に皆は帰ってしまった。
残ったのは私と琥珀くんだけ。
なんと言うか、ん〜、非常に気まづいです。
だって、よくよく考えるとこんなイケメンと2人きりってないですよ!
目の保養にはなりますけれども。
「咲羅」
「…っ!は、はいっ!」
声が裏返ってしまった。
琥珀くんを横目で見てみると、下を向いて必死に笑いを堪えているのが分かる。
「ごめんごめん。そんなに怒んないで?」
ほらまた頭を撫でてきた。
こんな事するから勘違いしちゃうじゃん。
「さて、夜も遅いことだし俺もそろそろ帰ろうかな。」
「もう帰っちゃうの?」
こんな事言うつもりじゃなかったのに。
慌てて口元を抑える。
「ううん、何でもない。」
「俺ももっと咲羅と一緒にいたいよ?だけどね、今から仕事もあるし…。あ、そだ。ゆきとぼたんを置いていくよ。」
「で、でも…。」
「大丈夫。この子たちはとてもいい子だから。ゆき、ぼたん。咲羅に迷惑かけないように。それと、ちゃんと自己紹介すること。」
2人は頷くと、その場に飛び上がった。
すると、尻尾が体を包んでいく。
丸くなった瞬間、白い光と共に2人の人が目の前にいた。
「に、人間になれるの、?」
「うん。これなら話もできるし、お手伝いとか何らかで役に立つだろう。じゃ行ってくるね。」
そう言うと疾風の如く空へ消えていった。
「さ、咲羅様!初めまして!俺は4尾のゆきです。よろしくお願いします。」
「私はぼたんです。以後お見知りおきを。あの、咲羅様。早速ですが何かお手伝い出来ることありますか?」
なんだか、弟と妹が出来たみたいで嬉しい。
「咲羅様、苦しいですよぉ。」
思わず抱きついてしまっていた。
「ご、ごめんね。私、ずっと1人で弟妹とかいなかったから嬉しくて、つい。」
「咲羅様…。」
切なげに見てくる2人。
本当に心配してくれてるんだ。
心がほんわか暖かくなるのを感じた。
「そうだ!ねえ、ゆき、ぼたん。私の弟妹になってよ。」
キョトンとしている2人。
やっぱダメだった、よね?
「私はお姉様が欲しかったのでぜひお願いします!」ニコッ
「お、俺も///」
ほんと可愛いなあ。
「ありがと。」
もう1度2人を抱きしめた。
2人も私を抱き締め返してくれた。