白狐様の秘密
「ゆきー、ぼたんー!買い物行くよ。」
「「はーい。」」
2人は喜んで走ってくる。
外に出ると珍しく強い風が吹いている。
ゆきの歩みが止まる。
「ゆき?どうしたの?」
「…え?あ、なんでもないです。」
そう言うと先に歩き出すゆき。
なんかあったのかな、不安に思いながらも後ろを追いかける。
その時、
「ぼたん!咲羅様を連れて黒様のとこに行くんだ。琥珀様が不在だから何としても食い止める。」
ぼたんは頷くと私の方へ来た。
「咲羅様、行きましょう。」
「どうしたの?2人とも。」
「誠蘭たちの襲撃です。奴らがここを嗅ぎつけたみたいなんです。だから早く…!」
「でも、ゆきがっ!」
「俺は大丈夫です。」ニコッ
あの微笑み方は琥珀くんと似ている。
私を安心させてくれようとしているんだ。
でも置いていけないよ。
立ち尽くしていると、ぼたんが私を抱えて走り出した。
「ぼたん、離して!ゆきがっ!」
「大丈夫です。ゆきはああ見えてとても強いですから。きっと追いかけて来ますよ。信じてあげてください。」
ぼたんの目に不安の色が見えた。
ぼたんも心配しているんだね。
私も信じよう、ゆきの無事を祈りながら。