白狐様の秘密
said.ゆき
咲羅様の気配、ぼたんと共に黒様の元へ無事ついたみたい。
よかった。
「よそ見してる場合か?」
「くっ…。」
一人じゃさすがにキツいな。
ざっと30ってとこか。
「お前達は俺が食い止める。先に行かせるものか。」
「小賢しい。落ちこぼれの分際でなにができる」
「確かに落ちこぼれだ。だかな、俺にだって守ることはできる。」
「ほざけ。」
交戦は激しくなる一方、俺の体力もそう長くは持たないだろう。
相手に隙を与えてしまい、体勢を崩してしまった。
「…!し、まった…。」
殺られる。
わおおおん…!
雄叫びと共に現れたのは狼の大衆。
「ヴォルクおじさん!」
「おう。チビ、一人でよく頑張ったな。あとは俺たちに任せな。」
おじさんたちは誠蘭たちをもろともせず、追い詰めていった。
すごい…!
30もいた敵はあっという間にほぼ全滅。
「今回は邪魔が入ってしまったが、次こそ必ずっ…!」
やつらは闇の中へ消えていった。
「おじさん、ありがとう。」
「お前さんが無事で何よりだ。あいつが動き出したってことは姫さんが現れたんだな。厄介な事になっちまったな。俺もできる限りお前たちを守ろう。」
「うん。俺ももっと強くなるよ。」
「言うようになったじゃねえか。」
掻きむしるように頭を撫でてくれるのは昔から変わらない。
ヴォルクおじさんは琥珀様を小さい時からずっと面倒を見てくれていたみたいで、俺たちからしても頼りになる存在だ。
でも、そのヴォルクおじさんが今ここにいるということはそれほど危険な状況なのだということも分かっている。
だからこそ、力をつけて足でまといにならないようにしないと。
ヴォルクおじさんと別れてぼたんたちの元へと急いだ。