白狐様の秘密


結局、この日は琥珀くんが帰ってくることはなかった。

2人に聞いたけど曖昧に返事を返されるだけで詳しく教えてくれない。
諦めて今日は寝ることにした。




気づいたら暗闇の中にいた。
あぁ、あの時疲れちゃったからすぐ寝たんだった。
ってことは、ここは夢の中?



━━━━━━…さ、くら。


んっ…?だれ?


微かだけど、私を呼ぶ声が聞こえてくる。


「誰なの?」



━━━━━━━…咲羅。



今度ははっきり聞こえた。

声のする方を見ると光が指している。
私はそこを目指して必死に走った。


今一番聞きたい声。
今1番そばにいてほしい人の声。


その人が私を呼んでくれている。
嬉しい反面、この気持ちの整理がつかない。


なんなんだろう…


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