白狐様の秘密
「よしっ、セーフ…ハァハァ」
「セーフじゃねえよ。とっくにHR始まってるだろ。」
「月下!早く席につけー」
「はーい…」
結局、今日も遅刻をしてしまった…。
今日は遅刻すまいと決めてたのに。
無意識に深いため息がでる。
「お前ら静かにしろ。さっきも話した通り、今日から転校生がくる。秋雨さん入りなさい。」
入ってきたのは人形のような可愛らしい女の子。
髪の毛は栗色で軽くパーマがかかっていて、目は大きく見るものを魅了する。
「自己紹介をお願いします。」
「…あ、秋雨、かりん…です。」
恥ずかしそうに言うとすぐに俯いてしまった。
「可愛いー!」
「俺、めっちゃタイプかもっ!」
クラスの男どもは歓声をあげている。
すると、私のとなりから声が聞こえた。
「お前ら、秋雨が困ってるだろ。やめてやれ」
ん?
涼ってこんなこと言う人だっけ?
不思議そうに眺めていると、不機嫌そうに涼が言ってきた。
「んだよ。」
「いえ、なんでも。涼でも人を庇うことってあるんだなあって思って。」
「俺だってあるに決まってるだろ。」
「ふーん。」
ちなみに秋雨さんは私の前の席になった。
友達になれるといいな。